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パフォーマンスに心震わせる。それはかけがえのない「ケア」。どこかで今日も誰かが誰かをケアしている。

Vol.1 人生の迫力・苦悩への共鳴

圧倒的な声の存在感でコアなファンを持つ小田純平は、旅芸人夫婦の間に産まれ、幼少の頃から各地を旅し舞台に立ち、特異な経験をしてきた。貧困やアクシデントの連続等、その人生経験は、歌の迫力にもつながり、高齢なファンがしっとりと、そして真剣に聴き寄せる佇まいとなるのは、彼自身の「人生の迫力」故であろう。今回は還暦一歩手前の小田に、バックを笛吹利明(ギター)、エルトン永田(ピアノ)ら還暦越えの実力派が、小田の声を巧みに演出した。 小田純平ライブの写真 小田はラジオ番組で「重い人生」の投書を受けることもしばしばで、今回ライブで紹介した手紙もかなり重かった。投稿した男性は、覚せい剤中毒の父親によるドメスティックバイオレンスと母の闘争、自分も覚せい剤で服役してしまい、その当日「お前はよい子だから戻っておいで」と面会に訪れた育ての祖母が自殺したと告白。服役後、一念発起し父から離れ結婚し家族を持ったものの、父が出所し、「親子をやり直そう」という手紙の言葉を信じ引き取ったものの、また地獄が始まったという。この地獄の中、男性が励みにしているのは小田の歌だった。 この手紙を小田は太く柔らかく、張りのある声で読みあげる。そして、ストーリーに呼応するように歌われる、その歌は「励まし」ではなく、その苦悩する人に共鳴するような、あたたかい抱擁にも似ている。 これは心震わせる出来事となった。副題の「音楽にできること」を強く感じさせる、2時間以上の熱演。余談だが、最近は小田純平のグッズも充実している。(引地達也)